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2022/03/31 09:40

「俺が何も知らんと思うんか」

M.ando

 

会長は当時「これから問屋に頼る商売は厳しくなるに違いない。

直営店を作り、自給自足を目ざす」

それを実行するためSPAの多店舗展開を目指していた。

つまりは「お客様の声」を聴くことによっての商品開発と製造を

安定させるための策だった。

 

退社する前任者がすでに5店舗作っており、さらに次々と店舗を

増やす計画になっていた。その管理を任される形となったのだ。

 

当時の私は訳もわからず、目の前にある問題にぶつかって

対処するしかなかった。パート募集できた販売員に何とか

お願いしながらも踏ん張っていったが、

どこかで無理が生じるのは目に見えていた。

ただただ多店舗展開をしたい会社に従って前ばかり見て突っ走り、

ふと、後ろを振り返ったら誰もついてきてなかったことに気づいた

時には遅かった。

 

売上も素人考えで上がるはずもなく、たまたま採用した

ベテラン販売員の販売力に助けられていただけで、中身はスカスカ。

 

赤字が続く直販部に会長の罵声がとんでくる毎日。

そして「どこを見て仕事をしてるんですか」と

店舗スタッフから言われ、信頼関係が築けない日々。

 

今振り返っても、当時が一番つらかった。

辞める事さえ頭をよぎったこともあった。

 

このままでは全てがダメになる。

 

私は意を決して会長に直訴した。

「もう店舗を増やすのは中断してほしい」「私では無理」と

号泣したのだ。その時にでてきたコトバがこれ。

 

「お前が一番つらいのはわかっとる。何も知らんと思っとんか。

お前やったらできると信じとるんや」

 

ずるい!本当に会長はずるい!

一番追い込んだのは会長自身なのに、

頃合いを見計らって今度は引っ張り上げる。

そして単純な私はまた頑張って、

「乗り越えられるような気がする」のだ。

会長の手のひらで踊らされてるのがわかっていても、

結局結果を出さずに逃げるのは悔しい。

 

辛いことから逃げたり胡麻化したりしても何もならない。

何としても乗り越えていくしかないのだ。

自分の目指すものは、その頑張る延長線上にしかないのだから。

 

結局問題は「周りの人」ではなく自分にあり、

解決策は自分が成長するしかないということに気づかされた。

 

それからの日々はビジネス本や歴史書など、

できるだけ本を読む時間をつくり、セミナーなどに参加したりと

自分投資の時間を作ることに努力した。

 

どれくらい経っただろう。

 

気が付いたら落ち着いていろんな対応ができ、

以前のように目の前のことに振り回されることが減っていった。

スタッフとの会話の内容も変わっていった。

 

結局会長との会話で気持ちの切り替えができたとこに間違いはないが、

絶対に別のやり方があったはず、と今でも「納得」したくない、

私である(笑)

 

・・・次回は最終回